ただの企業では、
もう測れない。
バークシャー・ハサウェイとは何者か。
バークシャー・ハサウェイ(ティッカー BRK.B
- 01
バークシャー・ハサウェイは保険を核とした 複合企業 。鉄道(BNSF)・エネルギー(BHE)・多数の事業会社に加え、Appleなど 巨大な株式ポートフォリオも自ら運用 する“会社そのものが投資家”という異質な存在です。2026年1月に グレッグ・アベル氏がCEOに就任 し、バフェット氏(95歳)は会長として週5出社する新体制に入りました。 - 02
FY2025の営業利益は 444.9億ドル(前年比▲6.2%) 。2026年Q2(4〜6月期)の営業利益は 129.83億ドル(前年比+16.3%) で増益に転じました。 14四半期続いた株式の売り越しは、Q2に約200億ドルの純買い越しへ転換 。現金+短期米国債は3月末の過去最高3,974億ドルから 3,655億ドルへ減少 し、「買うものを見つけ始めた」局面に入っています。 - 03
見方の注意: GAAP純利益は保有株の評価損益で乱高下し、単体では意味をなしません 。代わりに 営業利益・P/B(約1.46倍)・フロート(保険で先に受け取り、あとで払うお金) で読み替える。オルカン組入は俗説の「6位」ではなく 実際は約0.7%でトップ10圏外 (JPモルガンとほぼ同格)です。
繊維会社が、
"会社そのものが投資家"になった。
バフェットが経営権を取得
保険参入(National Indemnity買収)
See's Candies買収
GEICO完全子会社化
BNSF鉄道を買収
Apple株の取得を開始
日本の5大商社を買い集め
非テック企業で初の時価総額1兆ドル
バフェット「最後の手紙」
アベル体制へ
このシリーズの「成長レンズ」も「銀行レンズ」も、複合企業には一部効かない
保険が生む"浮いたお金"が、投資の元手になる。
保険事業(GEICO・National Indemnity・Gen Re等)
BNSF(鉄道)
BHE(バークシャー・ハサウェイ・エナジー)
事業会社群+株式ポートフォリオ
"保険"が主役、事業会社とインフラが脇を固める。
税引後営業利益の構成
3つの役割で読み解く
主役
土台
インフラ
分権経営の強さと、GAAP純利益の乱高下というもろさ
営業利益で読む。GAAP純利益は"罠"。
営業利益の推移
「前年比は減益でも、保険引受は3年連続黒字」
GAAP純利益は“罠”——保有株の評価損益が直入する
Q2営業利益129.83億ドル(+16.3%)。保険以外の全部門が増益
Q2は増益。現金は減り、14四半期ぶりに"買い"へ転換。
2026年後半を読む4つの注記
① 26Q2
③
過去最高だった現金が減少に転じ、株は上位集中へ。
現金+短期米国債の推移
「振らないバット」——甘い球が来るまで待つ
保有株の中身(13Fベース)
保有株の構成比
※ 13Fは
直近四半期の売り買い(26Q1)
買い増し・新規 増やした銘柄
- Alphabet
:保有額+225%(約156億ドルへ) - Delta Air Lines
:新規26億ドル - Chubb・New York Times
:積み増し
売却・削減 減らした銘柄
- Kraft Heinz
:約28%・77億ドル分を売却 - Amazon・UnitedHealth・Domino's Pizza
:完全売却 - Chevron
:大幅削減(13F構成比も低下)
※
PERが使えない理由と、P/Bで見る「割安でも割高でもない」。
株価の推移(B株・ドル)
複合企業向けの指標 ― PERの代わりにP/B、の代わりに営業利益
バークシャーは
なぜPERでなくP/Bなのか
バークシャーの
PERでは比べられない。60年は圧勝、でも直近10年は劣後。
長期リターンで比較
オルカン上位・他の番外編と並べる(概算)
| バークシャーBRK.B | ||||
| NVIDIANVDA |
※ バークシャーとJPモルガンは
正式カバレッジは薄め。強気は「最後の買い手」、慎重は「機会損失」。
バークシャーは
約4,000億ドルの「最後の買い手」
機会損失と「バフェット・プレミアム」剥落論
よくある誤解:「オルカンで6位」は俗説です。
パッシブ俗説と実際のズレ
実際の組入比率(MSCI ACWI) 約0.67%・順位はおおむね15〜18位圏(2026年7月9日時点)。トップ10圏外です。 S&P500での組入比率 約1.56%で10位前後。2023年の6位から低下しています。 俗説「6位・約1%」の出どころ 2023年前後のでの順位(当時6位)が、いつの間にか「オルカンでの順位」として広まった可能性があります。
アクティブバリュー・複合企業ファンドの定番
バリュー株・大型株ファンド P/B・自己資本の質を重視する運用で、定番の組み入れ候補。 保険・金融セクター系ファンド フロートを生む保険事業として、セクター特化ファンドでも一角を占める。 著名投資家フォロー型ファンド バフェット氏の投資哲学を模倣・追随する運用で、象徴的な存在。
アベル体制、最初の半年をどう見るか。
好意的な評価
- +UBSは
「アベル体制でも文化・戦略はほぼ不変」 と評価。分権経営・フロート重視の哲学は引き継がれているとの見立てです。 - +
バフェット氏自身、総会で 「グレッグは私がやってきたこと全て、さらにそれ以上をやっている」 と評価。Taylor Morrison買収についても「 グレッグは私より速くスムーズに実行した。He has launched 」と語りました。 - +
2026年2月の初めての株主への手紙では、バフェット氏の文体を模倣せず 「偉大な遺産を強化し、永続させる」 と独自の姿勢を示し、自らを Chief Risk Officerと位置づけました。
注視点
- -
2026年5月の総会は アベル氏が初めて主宰 。バフェット氏はフロア側の取締役席で短く発言するにとどまり、 出席者数も従来の4万人超から大幅減 。象徴的な変化として注目されました。 - -
アベル氏は総会で 会社分割を明確に否定 しましたが、複合企業ディスカウント論は根強く、投資家がこの構造をどう評価し続けるかは未知数です。 - ±
保険部門のジェイン副会長(73歳)は留任していますが、2024年9月に自身の保有株55%を売却済み。後継はシャミエ氏が有力視されるとの報道もあります(報道ベースで、会社は公表していません)。
なぜ、バークシャーは"別格"なのか。
堀の強み 崩れにくい優位
- フロート
:2026年6月末約1,775億ドル。3年連続の保険引受黒字でコストは実質マイナス。 分権文化 :本社約27人。各事業会社の経営は現地任せ、資本配分だけ本社が握る。 要塞バランスシート :現金+短期米国債3,655億ドル(時価総額の約34%)。危機時の「最後の買い手」。 日本の5大商社 :取得コスト約154億ドル(2025年末)→市場価値約354億ドル(含み益約200億ドル)。数十年保有の方針。
堀への挑戦 それでも狙われている
複合企業ディスカウント :各事業を合算した価値より、株価が低く評価される傾向が根強い。 規模の限界 :テイラー・モリソン買収(68億ドル)でも手元現金の2%未満という「象撃ち銃」問題。 金利低下リスク :現金の利息収入(年約120億ドル規模)は、利下げ局面で細る。 後継の連鎖 :アベルCEOの次、ジェイン氏の後継(シャミエ氏が有力視・報道ベース)など、世代交代はまだ続く。
各社には“堀”がある
金利・保険サイクル・規模の限界・後継。
金利環境
保険引受サイクル
規模の限界
ポストバフェット期のガバナンス
「バフェットの会社」から「アベルの会社」へ。
グレッグ・アベル氏がCEO に就任(2026年1月) 現金+短期米国債 3,655億ドル (3月末の過去最高3,974億ドルから減少) - Q2に
14四半期ぶりの株式純買い越し (約200億ドル)
資本配分の最終権限 をアベル氏に完全移管 保険部門トップなど 残る後継 の道筋をつける 日本の5大商社を含む 長期保有ポジション を維持
保険+フロートを核とした 複合企業モデル を維持 危機の局面で 「最後の買い手」 としての役割を果たす 会社分割はしない、というアベル氏の明言どおりの構造を継続
ポストバフェット文化が保てれば 複合企業の代表格 であり続ける 金利サイクル・大災害の頻度次第で 財務戦略が振れる アベル氏以降の 次世代の後継 が、長期の分岐点になる
ドル建ての株。無配で、還元は自社株買いの「規律」。
為替(ドル円)の効き方
①
無配の理由と自社株買いの規律
バークシャーは
「別格の会社」に見えても、見ておくべき4つのリスク。
ポストバフェット・ガバナンスの移行リスク
GAAP純利益の乱高下と複合企業ディスカウント
金利低下と規模の限界
保険の大災害リスクと直近10年のS&P500劣後
バークシャーは
リスク: