自社の大規模
言語モデルを公開。
自分自身も
AIエンパワーメントカンパニーと名乗る。
- 01
楽天グループは、経済産業省・のGENIACプロジェクトの一環として独自AIモデル「Rakuten AI 3.0」(約7,000億パラメータ)を開発・無償公開しています。 - 02
2026年12月期第2四半期決算短信は自社を「AIエンパワーメントカンパニー」と位置づけ、EC・フィンテック・モバイルの全社でAIを活用した売上収益の伸長とコスト削減に取り組んでいると明記しています。 - 03
中間期の売上収益は前年同期比+12.9%の1兆3,091億円、Non-GAAP営業利益は+296.6%の783億円まで改善。ただし親会社の所有者に帰属する中間利益はなお109億円の損失です。
楽天グループとはどんな会社か
自社モデルの公開と、自らを「AIエンパワーメントカンパニー」と位置づける決算資料
- Rakuten AI 3.0
:経済産業省・NEDOのGENIACプロジェクトの支援を受け、日本語に最適化された約7,000億パラメータのMoE(Mixture of Experts)アーキテクチャを採用。JamC-QA・MMLU-ProX(日本語)・MATH-100(日本語)・M-IFEval(日本語)の4種ベンチマークすべてでGPT-4oを上回るスコアを記録し、Apache 2.0ライセンスで無償公開した。 「AIエンパワーメントカンパニー」への進化 :決算短信は「メンバーシップ、オンライン・オフライン双方で展開する様々なサービスによって蓄積される質・量ともに圧倒的なデータを生かしたAI等の先進的技術を活用したサービスの開発及び展開」を進め、「AIエンパワーメントカンパニーとしても進化」すると明記している。 - AIコンシェルジュ
:EC「楽天市場」では、データやエージェント型AIツールである「AIコンシェルジュ」等の活用を通じた新しい市場の創造や既存ユーザーの購買額向上を、通期の重点施策として掲げている。 フィンテック事業の再編とAI活用の深化 :楽天銀行を株式交付親会社とする楽天カード・楽天証券ホールディングスの株式交付による事業再編は、2026年10月1日に効力が発生し、両社は楽天銀行の連結子会社になった(同日のプレスリリース)。決算短信は「フィンテックサービスにおけるAI活用が更に深化していくことを期待」と明記している。
6指標の判定(◎○なしの3段階・点数化しない)
| ○ | ||
| なし | ||
| ○ | ||
| ◎ | ||
| ○ | ||
| なし |
3セグメントのうち2つが黒字化。モバイルは赤字縮小が続く
フィンテック
インターネットサービス
モバイル
セグメント利益(モバイルエコシステム貢献考慮後)
3年連続の最終赤字。ただし中間期は赤字幅が大きく縮小。
親会社の所有者に帰属するの推移
フィンテック・インターネットサービスが増収増益、モバイルの赤字も縮小
IFRSベースの中間利益はなお赤字。無配が続く
売上収益は一桁後半の成長、黒字化を目指す(具体的な金額の予想は非開示)
株価は1年で年初来安値を更新。無配・実績赤字で本編の指標が算出できない。
株価の推移(2026年)
配当・・は「算出不可」——主要指標をやさしく
無配で実績赤字。本編のバリュー・レンズでは評価できない
楽天は「半導体をつくる会社」ではない。
塗りつぶした区間=公表資料でその工程を担うと確認できた会社 破線の枠=その工程の候補企業が今回は見つかっていない(空欄を隠さず示す) 楽天・日立・パナソニック・トヨタ・ソフトバンクはAI活用側の会社であり、半導体の製造工程は担わないためこの図には含めていません
AIモデル開発と事業再編の歩み
楽天株式会社を設立
楽天モバイルが携帯電話事業に本格参入
GENIACの第3期公募に採択
「Rakuten AI 2.0」を発表
「Rakuten AI 3.0」を提供開始
中間期決算で「AIエンパワーメントカンパニー」を掲げる
フィンテック事業の再編が効力発生
無配・赤字から事業再編まで、4つの論点。
実績赤字と無配が続いている
モバイル事業の赤字が残る
フィンテック事業再編に伴う費用の計上
自己資本比率の低さ
なぜ本編(日本株シリーズ20社)には無いのか
このページに出てくる言葉
用語① AIとモデルの言葉
- MoE(Mixture of Experts)
:AIモデルの内部を複数の専門家(エキスパート)ネットワークに分け、入力ごとにふさわしいものだけを使う設計。同じ計算量でも高い性能を狙える手法。 - GENIACプロジェクト
:経済産業省・NEDOが推進する、日本の生成AI開発力強化を目的としたプロジェクト。企業に計算資源やデータの支援を行う。 - AIコンシェルジュ
:楽天市場が掲げる、データやエージェント型AIツールを使った顧客対応の仕組み。質問に答えるだけでなく、購入までの行動を後押しする役割を想定している。
用語② 決算・財務の言葉
Non-GAAP営業利益 :楽天グループが独自に使う利益指標。IFRS基準の営業利益に、等の償却費や一時的な項目を調整して算出する。 モバイルエコシステム貢献 :楽天モバイルの契約者が、他の楽天サービスをより多く使うことによる相互送客効果を金額換算し、各セグメントの損益に反映させる楽天独自の指標。 株式交付 :ある会社(親会社)が別の会社(子会社)の株式を自社の傘下に収める対価として、自社の株式を交付する組織再編の手法。楽天銀行によるフィンテック事業再編で使われる。
このページの要点。
出典資料
楽天グループ公式プレスリリース「楽天、『GENIACプロジェクト』の一環として開発された国内最大規模の高性能AIモデル『Rakuten AI 3.0』を提供開始」 (2026年3月17日発表・2026年9月26日確認) 楽天グループ 2026年12月期第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結) (2026年8月10日発表・2026年9月26日確認) 楽天グループ公式サイト「会社概要」 (2026年9月26日確認) Yahoo!ファイナンス 楽天グループ(4755) (株価・時価総額・2026年9月25日終値等・2026年9月26日確認)